静岡市葵区水見色地区で活動する坂本サジットさんの紹介

人が訪れる場をつくり 街と邑の架け橋に

※2022年2月に発行された「むらのおと2022冬号」に掲載されている「キラリ★邑びと」のコーナーに、坂本サジットさんと山中里絵さんのインタビューを掲載しています(山中さんのインタビューはこちらからお読みいただけます)。
ここでは、載せきれなかった分も含めて掲載します。
ぜひお読みください。

坂本サジットさん
(古民家カフェさじっとの家)

■地域をより活性化するための活動

 静岡市葵区水見色地区で、古民家を改装した「さじっとの家」を営業する坂本サジットさん。スリランカ出身で結婚を機に25年以上前に来日。以前は会社員として働いており、静岡市の市民会議に参加していました。中山間地域の農家の高齢化や過疎化等についての話を、オクシズ地域の町内会長さんと話していくうちに、実際に動いて地域の役に立ちたいと思うようになったといいます。

 現在は水・木曜は葵区古庄でスリランカカレー「Sahiru17」を営業し、週末は「さじっとの家」でカフェ営業やワークショップ、ライブやヨガなどを行っています。「さじっとの家は週末営業だけど、1週間のほとんどは水見色にいますよ。ここは静岡駅から車で30分ぐらいなのに静かなのも魅力。それと僕はもともとトライアスロンをやっていて、自転車で走れる山が身近にあるのもすごくいいんです」とサジットさん。

 水見色にお店を構えるきっかけは、「きらく市」の勝山啓子さんが熱心に話を聞いてくれたことも大きかったそう。その後、2014年にさじっとの家をオープン。2020年には邑の中心部にある古民家を買い取り、2021年に「さじっとの庭」としてオープン。キャンプやBBQスペースとして利用されています。同年11月には静岡駅と「さじっとの庭」を結ぶバスツアーを行い地域の活性化に取り組んでいます。


ヨガやバスツアーを行っています

  さじっとの家の裏山は持ち主に許可をもらい、今後は無農薬のお茶を栽培して収穫や手揉みなどの体験を行いたいと言います。地域の高齢化の問題もあり、これまでのように大量にお茶を作るのではなく、少量の質の良いお茶を作ってお金にしていくのはどうかと水見色の人に提案していきたいそう。

自分の活動を誰かが真似してくれれば、地域がより活性化するのではないかという思いを持つサジットさん。実際8年前にさじっとの家をオープンした当時、オクシズには古民家を利用したカフェはなかったが、現在は古民家を利用したカレー屋が8店舗ほどになりました。雑誌にオクシズのカレーを扱った特集が組まれたこともあるのだとか。


さじっとの家で食べられるカレー


緑茶入りのスリランカカレー「サジットさんのお茶カレー」

■素材をどう引き立てるかがスパイスの役目

 サジットさんは他にも、市内の飲食店やホテルのテイクアウト弁当を集めて移動販売代行をする「SERENDIB号」という取り組みも行っています。また、地域の高齢化問題に関しては、若い人を外から連れてくるだけでは状況は変わらないと危惧しています。現在、さじっとの家に週末お手伝いに来ている高校生は料理人志望。いつかはここで店長になってほしいという思いを持ちつつ、その前に同年代の人を誘ってきらく市で働いてほしいと言います。それは、この地域の子ども達が大きくなって外に出ていってしまうのではなく、地域に根付いてほしいという思いを持っているからです。
「水見色の地域の方々は、このままでは人が減り、村がなくなってしまうという危機感を持っていたから、私が家を探していると聞いて、ぜひ来てと言ってくれたと思うんです。でも、外から来た人ってスパイスでしかなくて、素材は地元の人。いい素材にスパイスで味付けするだけですよ」とサジットさん。


さじっとの家の外観。素敵な佇まいです

水見色を盛り上げたいと活動するサジットさんは、地元のみなさんにも愛されています。取材中にも地域の方が畑で採れた野菜を届けに来るなど、地域と良い関係を作れていることが窺えました。

以前はこの地域に人が訪れる場所はきらく市とお茶屋さんしかなく、1日に2〜3台ほどしか住民以外の車を見かけなかったそう。現在は、勝山啓子さん宅の倉庫を使った人気のピザ屋「カフェ長兵衛」や古民家カフェ、ドッグランなど訪れるお店が増え、1日に2〜300台の車が来るようになるなど、人の流れができるようになっています。茶体験やグランピング、宿泊やバーベキュー、食事やマッサージ、お風呂などを利用してもらい、「ゆくゆくは水見色をミニリゾートにしたい」とサジットさん。今後の邑の発展に期待が持てます。


さじっとの家から水見色地区を見渡します