悠久の歴史をもつ竜ヶ石山ハイキングを満喫!

お手軽だけど奥深い竜ヶ石山のススメ
標高359mの竜ヶ石山は石灰岩地帯特有のカルスト地形をもち、希少な動植物がみられるなど風景の変化を楽しむことができます。低山でありながら、富士山、遠州灘を一望できる山頂も人気の秘密。毎年、多くのハイカーが訪れます。

古生代の奇岩と住民の地元愛
登山口から歩くこと15分。スギやヒノキに囲まれた山道に大小様々な石灰岩があらわれました。登山ガイドの小野寺秀和さんによると、これらの石灰岩は2億5千万年かけて地殻変動により地表に露出したフィリピン海プレートの名残なのだそうです。雨水によって溶けた石灰岩が尖塔状に林立する地形はカルスト地形(カレンフェルト)と呼ばれ、ここ竜ヶ石山も日本有数の地形として浜松市の新自然百選に選ばれました。注目したのは、表面に水平の溝が何本も刻まれている特徴的な形状。溶食によってできた溝ですが他の石灰岩では見られない珍しいもので、現在も調査中なのだそうです。
他にもエビネやアツモリソウといった希少な植物、夏には蛍が見られるそうです。「地域の誇りや伝統、あたたかさを可視化したのが竜ヶ石山ハイキングコースなんだよ」と、小野寺さんは教えてくれました。

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竜の爪岩。竜が残した爪痕の伝説が竜ヶ石山の由来です。

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竜ヶ石山のハイキングコースでは自然の営みを1年を通して楽しめ、登るたびに新しい発見のできる山。
山を切り開いた地元の方たちは、登山客同士の交流を見ることや子どものたちのはしゃぐ声を聴くのが
楽しみだそう。

白橿の棚田で蘇る、農村文化と集落の絆
竜ヶ石山の中腹には、白橿(しらかし)の棚田があります。10年前は雑草に覆われた一帯でしたが、かつての稲作を復元しようと有志で集まった人たちが復田したものです。現在は、田植えや収穫に子どもからお年寄りの方まで参加する、食の青空教室となっています。

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棚田を支える畔は石を一個ずつ積んでつくられたもの。昔の人の技術と知恵を感じます。

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竜ヶ石山の魅力は、新旧を受け入れる懐の深さにアリ!
年間数十万人の人が訪れるほど竜ヶ石山地域に活気が生まれたのは、地元の方たちの有言実行する姿勢が根底にあるからと小野寺さんは言います。竜ヶ石山も農業や林業を生業とする人たちが集まり、間伐や山道の整備を始めたそうです。今回、私の中に湧いてきた好奇心や楽しさは、古きものを守り、新しい挑戦を続けてきた地元の方たちの想いが生んだものだと思いました。地元の皆さんはまだまだお客さんを楽しませる新しい仕掛けをつくっていくそう。今後も注目していきたい邑です。

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山頂の鐘。昭和初期は火の見櫓の半鐘として活躍しました。

竜ヶ石パラグライダ=
安定した風の吹く日は、パラグライダーも楽しめる山頂。絶景です。

 

体験日  平成28年2月
場所   竜ヶ石山~西四村の里~(浜松市北区引佐町田畑)
(編集協力/静岡時代)